その瞬間、クラス中から歓声があがる。

「えー、あたしも図書委員にすればよかった~!」

「今から変えるのあり~?」

「今から変更は無理です!ほかに図書委員になりたい人いますか?」

ドッと沸き上がった笑い声を学級委員長がいさめる。

私の右手はスカートから離れてくれない。

その間にもクラス中の騒ぎ声はわたしをあざ笑っているかのように大きくなる。

「結衣、手、挙げて。図書委員やりたいんだろ?」

再び振り返った藤原くんがわたしの心を見透かしたようにそっと問いかける。

YESともNOとも言えずにただ表情を強張らせたままのわたしの顔を藤原くんが覗き込む。

「自分が思った通りに動いてみなよ。誰かに遠慮なんてしないで」

藤原くんはわたしの手首を掴んでまるで子供が何か悪いことを企んでいるかのような笑みを浮かべた。

「自己主張していいんだって。ちゃんと俺が責任もって受け止めてやるから。ってことで、いち、にーの」

さん、という声の後彼はわたしの左手首を掴んで上へ引っ張った。