周りをぐるりと見渡す。まだ委員会が決まっていない人数と人を把握して、彼らの表情やまわりに漂う空気から彼らの気持ちを先読みする。

まだ決まっていないことへの焦りや苛立ちが伝わってくる。

今回も、最後のあまりものの委員会に入ろうと、私は心にそう決めた。

それが一番心穏やかでいられることをわたしは長年の経験から分かっていた。

「まだ委員会に入っていない人~!挙手してください!」

自分の入る委員会が決まった人たちがおしゃべりに花を咲かせる。

その中で大きな声を張り上げる学級委員長。

すごいなぁ、と感心していると、前の席に座る藤原くんが振り返った。

「結衣、なんの委員会に入んの?」

なんの前触れもなく声をかけられてびくりと肩を震わせる。

「あっ、わりぃ。驚かせた?俺、図書委員狙ってんだけど」

藤原くんはそう言うと、わたしの手元の紙に視線を落とした。

「お、結衣も図書委員狙ってたのか。じゃあ、一緒にやろう」

えっ、と思って彼に視線を向ける。

一緒にやろう……?え、どうして?

「ちゃんと手、挙げろよ?約束したからな」

いつ、約束したんだっけ?あまりの困惑で顔が半笑いのまま固まる。