5限のHRで委員会決めをすることになった

教壇に立つ学級委員長が指揮を執り、委員会決めをしていく。

仲の良い友達同士で示し合わせて同じ委員会になる子が多い中、わたしは手を挙げることもできず困ったように視線を宙に漂わせた。

余っているのは図書委員会と保健委員会と風紀委員会だ。

特に入りたい委員会はないけれど、全員どこかの委員に所属しなくてはならない。

1年生の時にわたしが所属していた掃除をするだけの美化委員会は人気であっという間に決まってしまった。

保健委員は具合の悪くなったクラスメイトを保健室へ連れていき、早退する人が出れば荷物をまとめて保健室まで届けに行く。とにかくコミュニケーション力が要求される。

風紀委員会は交代で登校時に校門に立ち挨拶をする役回りがある。わたしには無理だ。
消去法の中から選んだのは図書委員会だった。

元々本は好きだし、静かで落ち着く図書室での短時間の活動ならばわたしにでもできるかもしれない。

手元に用意された紙の図書委員会という文字をグルグルとペンで囲む。

でも、きっと無理だろうな。図書委員にはきっとなれないだろう。

「はい、次、決めます!保健委員会に入りたい人、挙手してください!」

学級委員長の声に心臓がドクンっと震える。

昔からこういう場面で手をあげるのは苦手だ。目には見えない妙な緊張感がある。

授業中に、「答えがわかる人~?」と手を挙げるように求められても手をあげることができないタイプだった。

大勢の前で手を挙げて答えが間違っていたら嫌だという気持ちもある。

でも、根本的に自己主張するのが苦手だった。

自分の気持ちを口にすることはせず、黙って相手に従う。

わたしはずっとそういうスタンスをとって来た。