泣くな、結衣。泣いたらダメ。
心の中で自分自身にそう言い聞かせる。
藤原くんから逃げようと思った。
昨日初めて会ったばかりなのに、わたしのテリトリーに土足で入ってこようとする藤原くんが怖かったから。そんな人、今までひとりもいなかったから。
でも、わたしの足は自分の意思に反して動こうとはしない。
人は誰しも自分が一番可愛い。
人は人を欺き、裏切り、傷付ける。もう二度と、誰かに傷付けられたくない。
恐いんだ。傷付くのが。心の中をえぐられてしまうのは。
もうあんな思いは二度としたくない。
だから――。
「俺は結衣の敵じゃないよ」
藤原くんの声がスーッと耳の奥に溶けていく。
心の中で自分自身にそう言い聞かせる。
藤原くんから逃げようと思った。
昨日初めて会ったばかりなのに、わたしのテリトリーに土足で入ってこようとする藤原くんが怖かったから。そんな人、今までひとりもいなかったから。
でも、わたしの足は自分の意思に反して動こうとはしない。
人は誰しも自分が一番可愛い。
人は人を欺き、裏切り、傷付ける。もう二度と、誰かに傷付けられたくない。
恐いんだ。傷付くのが。心の中をえぐられてしまうのは。
もうあんな思いは二度としたくない。
だから――。
「俺は結衣の敵じゃないよ」
藤原くんの声がスーッと耳の奥に溶けていく。