小さく首を横に振る。ごめんね、わたしとはもうかかわらないほうがいいよ。

きっと藤原くんには何の得にもならないから。

「マジか。じゃあ、こうしよう。公平にじゃんけんで決めるってことで」

だからダメなの。再び首を横に振る。

「ふーん、じゃあいいや。いっくぞー!出さなきゃ負けだよ、最初はグー、じゃんけーん」

藤原くんの言葉に更に激しく首を横に振る。

お願いだからわたしに構わないで。ほおっておいて。顔が自然と歪む。

喉の奥の異物感は更に強くなり、息をするのもやっとだ。

顔を真っ赤にするわたしに気付いて藤原くんが振り上げていた右手を引っ込める。

「もう構わないでくれって顔してる」

藤原くんにもそれが伝わったようだ。

わたしは顔を持ち上げて藤原くんの瞳を見つめた。

「俺のことしつこいしウザいって思ってる?どう?正解?」

藤原くんは余裕気にそう尋ねる。

そうだよ、正解。そう思ってる。わたしなんてほおっておいてほしい。

何も答えないわたしの言葉を待つことなく藤原くんが続ける。