「あ」
ふいに頭上から落ちてきたその声に顔を持ち上げようとする前に、その声の主はわたしの前の席に回り込みドカッと腰かけた。
「同じクラスだったんだなー」
太陽の光に反射して彼のミルクティー色の髪の毛がキラキラと輝く。
バチっと目が合うと彼は優しく微笑んだ。
その笑顔にほんの少しだけおののく。
どこもかしこもキラキラと輝く眩しすぎる彼からわたしは黙って目をそらした。
「おーい、聞いてる?」
もちろん聞いてるよ。ちゃんと聞こえてる。
「どうして目そらすの?俺、なんか嫌なことした?」
してないよ。してない。だから、お願い。わたしに声をかけないで。
わたしに構わないで。
わたしはあなたに返事をすることもできないんだから。
スカートを握り締める手に力がこもる。
斜め45度に視線を下げて、奥歯を食いしばる。
「――奏多くん。やめたほうがいいよ」
わたしと彼のやり取りを間近で見ていたクラスメイトが声をかけた。