目が合うと彼はまいったという風にクックッと喉を鳴らした。

ハッとした時には遅かった。

「――!!」

浮かび上がったスカートを必死で押さえていたから藤原くんが何を言っていたのか正確ではない。

スカートを押さえ、藤原くんをにらむと、「わざとじゃないから。不可抗力ってことで」とかなんとか言い訳していた気がする。

「ごめんって」

藤原くんはショックを受けるわたしの手を引いて自分の隣に座らせた。

「まあまあ、そんなに怒んなよー。本当にわざとじゃないから」

わざとじゃないというのは分かっている。寝転んでいる彼と彼の頭上に立っているわたしの位置が少し最悪だっただけ。さらに風が吹いたせいでますます最悪なことになってしまったけれど。

怒っているのではなく、とにかくショックだった。
 
恥ずかしくて顔から火が出そうだ。

「はい、よしよし。もうイジけんな」

あぐらをかいた藤原くんは子供でもあやすようにわたしの頭を優しく撫でる。

困り果てて目をつぶる。どんな反応をすればいいのかよくわからなかったから。

さっきまで不快だった風は地面近くにいるわたしの前髪を優しく揺らした。

「つーか、ここ、悪くないだろ?」

確かに藤原くんの言う通り悪くない。

「でもさ――」

彼はそう言いかけると、わたしの両肩を押した。