緑ヶ丘公園に足を踏み入れた。

まだ五分咲きの桜が数本あるだけ。

おばあさんの言う通りこの公園の桜はずいぶん遅咲きだ。

風が吹くたびに砂埃が視界を遮る。

目を細めながら桜の木の下に近付いていくと、ふと違和感を覚えた。

「嘘でしょ……」

思わず言葉が漏れた。

桜の木の下の芝生の上に誰かがいる。

仰向けになり目をつぶっている男の人、というにはあまりにも若く見える。

きっと同じぐらいの年だろう。

こんなところに寝転んで何をしているんだろう。

恐る恐る近付いていく。

まさか、死んでなんかいないよね?

彼のそばまで歩み寄ってハッとした。

見覚えのある顔、ミルクティー色の髪の毛。

「……なんで……」

藤原くんがどうしてここに?

その場に立ち止まってうろたえる。