「でも、俺は自分の命にかえてでも結衣を守りたいって思った。だから、俺が死ぬ日は29日だって結衣に嘘の日を伝えた。28日だって本当のことを言えばきっと結衣はずっと俺と一緒にいるって言うだろうって思って。嘘ついてごめん」

そう言って謝る藤原くんにブンブンっと首を振る。

「謝らないで?わたしこそ藤原くんに辛い想いをさせてごめんね?」

わたしが知らないところできっと藤原くんは押しつぶされそうな不安や苦悩を抱えていたんだろう。

それに気付いてあげられなかったことに心が痛む。

「でも、結果的に俺達は今もこうやって生きてる」

「うん。そうだね」

「俺達にこれからできることは一日一日を大事に生きることかもな」

藤原くんの言葉に胸の中に染み込んでいく。

きっとそうだね。わたしはこれからを大切に生きる。

生きていることに感謝しながら。

二人そろって空を見上げていられる今この瞬間にもちゃんと感謝しよう。