藤原くんの前髪も揺れる。

「風強いね。窓閉めようか」

そう言って藤原くんの手から自分の手を離そうとしたとき、ピクリと藤原くんの指先が反応した。

「えっ……?」

ほんのわずかだけれど、藤原くんの指先に力がこもった。

ハッとして藤原くんの顔を見たわたしは思わず唇を震わせた。

藤原くんがゆっくりと目を開けた。

ぼんやりと天井を眺めている藤原くん。

こうなることをわたしは望んでいた。

一日でも一秒でも早く藤原くんの意識が回復することを願っていた。

でも、いざそのときになってみると驚きと嬉しさで胸がいっぱいになり言葉が出てこない。

わたしは気持ちを落ち着かせるために大きく息を吸い込んだ。

大丈夫。もう大丈夫。怖いことなんて何もない。

今度はわたしが頑張る番。

喉の奥のつっかえが溶けてなくなっていくみたい。

震える唇でわたしは藤原くんの名前を呼んだ。