しばらくすると、心電図の波形が綺麗な波を打ちはじめた。

藤原くんの意識はまだ戻っていない。

けれど、ICUから私たちのいる部屋へやってきた医師は、

「峠は越えました。あとは彼の生命力を信じましょう」

そう言って部屋から出て行った。

「おばあさん!!」

「結衣ちゃん!」

床に座り込んでいたおばあさんがゆっくりと立ち上がった。

わたしは自分からおばあさんの背中に腕を回してわーっと声を上げて泣いた。

おばあさんもわたしの背中に腕を回す。

藤原くんがまだ予断を許さない状態だということには変わりがない。

でも、時計の針は0時10分を指している。

「4月28日が……終わった……」

そう呟くと、おばあさんがうんうんっとすべてを悟ったようにうなづいた。

「天国にいる3人が……奏多を助けてくれたのかもしれないね」

「……っ」

おばあさんの言葉に再び涙が溢れる。

泣きじゃくるわたしの背中をおばあさんは温かい手のひらで何度もさすってくれた。