斜め45度の世界を変えてくれたのは、キミだった。
第一章

緑ヶ丘公園

学校の南側には駅や市街地がある。

市内の人口は100万を超え、地方中核市としてそれなりに栄えている。

映画館などといった複数の娯楽施設や大型ショッピングモールもあり、駅ビルの中には最先端のファッションブランドが軒を連ねる。

放課後には帰宅部のほとんどの生徒は南へ足を進めるだろう。

友達同士でショッピングを楽しんだり図書館で試験勉強をしたり、カップルでファミレスでおしゃべりをしたり。

楽しいだろうな、とは思う。でもどれもこれもわたしには縁のない話だ。

一応、学校を出れば普通に誰とでも会話ができる。

校門を抜けると、喉の奥につっかえている異物はなくなるのだ。

でも、例外もある。

同じ学校に通う生徒とは、学校外だとしても言葉を交わせない。

学校に友達は作れないと悟った瞬間、目の前が真っ暗になった。

しゃべることが出来なくなった後も、友達が欲しいという気持ちは心のどこかにあったように思う。

でも、現実的にそれは不可能のように思えた。

わたしはしゃべることができないのだ。

それだけでなく、中学時代のことがトラウマとなり周りの人とうまくコミュニケーションをとることが難しい。

輪になっている女子の集団は苦手。大きな声で騒ぐ男子たちもちょっと怖い。

自分から声をかけることもできない。

友達。そんなのはわたしにはきっと無縁の話。南側の人間にはどうやったってなれっこない。
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