人の死を予知できる藤原くんは知っていたんだ。

わたしが4月28日にあのビルの屋上から飛び降り自殺することを。

だから、藤原くんはわたしを助けるためにあの日……始業式の日、わたしに声をかけてきた。

そして、わたしの運命を変える為にわたしに声をかけ続けてくれた。

彼がわたしに近付いた理由は、わたしを救うため。

本当は今日、藤原くんが倒れていたあの場所でわたしは死ぬはずだったんだ。

生きることに疲れて自らの命を絶った。

始業式の前日に何かの夢を見た。断片的にしか覚えていない。

けれど、あの夢が今日この日に繋がっていた。

わたしは、確かにあの夢の中であのビルの屋上から飛び降りた。

藤原くんが事故にあったのは、わたしの運命を変えたせい。

運命に抗ったせい。

そのせいで藤原くんが……。

悔やんでも悔やみきれない。

どうして気付けなかったんだろう。

ギュッと制服のスカートを握り締めた時、集中治療室の中から看護師さんが飛び出した。