突然、目の前の視界がクリアになった。

――ハッとして藤原くんを見つめる。

藤原くんは目が合うと、わたしに優しく微笑んだ。

「――!!」

藤原くん!!そう叫びたいのに、声が出てこない。

次の瞬間、頭上から落ちてきた複数のパイプが藤原くんの体の上に落下した。

金属音と悲鳴が響き渡る。

藤原……くん。

そんな……。なんで。

わたしは這いつくばるように藤原くんが立っていた場所へ移動する。

うつぶせになり頭から血を流して倒れている藤原の元まで張っていき、体の上のパイプを必死になってどけようとする。

藤原くんは目をつぶったままピクリとも動かない。

「キャー――!!」

「誰か!救急車呼んで……!!」

周りにいた人々の悲鳴と叫び声であたりが騒然とする。

わたしは震える手で藤原くんの手のひらを握った。

藤原くん。藤原くん……!!

「藤原くん……!!」

わたしは叫んでいた。できる限りの声で藤原くんの名前を呼んでいた。