もう生きてなどいたくなかった。

わたしはわたしが大っ嫌いだったから。

普通に生きられないわたしは出来損ないだ。

こんなわたしには生きている価値などない。

きっと今わたしが死んでも誰も泣いてくれないだろう。

透明人間はずっと透明人間のまま。悲しいけれど、それが現実。

人間はそう簡単には変われない。状況も変化しない。

突風が吹いた。

わたしの弱さも悲しみも苦しみも絶望も。

全てをこの風がどこかへ運んで行ってくれればいいのに。

再び風が吹く。

早くここから飛び降りろと急かしているみたい。

わたしの目から一筋の涙が零れ落ちた。

――やめて。ダメ。そんなことしちゃダメ。

わたしは必死になって今にも飛び降りようとするわたしを制止した。

ダメだよ、死んだら。こんなところから飛び降りようとしたらダメ！

生きている価値のない人間なんてこの世にはいないよ。

そもそも、価値がないと生きていちゃダメなの？

価値のあるなしって誰がどうやって決めたの？

結衣、あなたは生きていていいの。

普通、なんていう物差しで世界を狭めてしまうのはもったいない。

藤原くんがね、言ってたの。

普通じゃなくたっていいんだって。