藤原くん、わたし……なんか変だ。

助けて、藤原くん……。

必死に手を伸ばした時、藤原くんがこちらに向いた。

目が合った。その瞬間、藤原くんは驚いたように目を丸くした。

「……結衣……!」

信じられないものでも見たかのように驚いた後、顔を歪めた。

「なんで」

今にも泣きだしそうなぐらい弱々しい声でそう言った藤原くん。

「なんで来たんだよ。公園にいるって約束しただろ?」

髪をクシャクシャとして途方に暮れた様子の藤原くんはポケットから取り出したスマホを見て「もう時間だ……」と呟いた。

その瞬間、ものすごい風が吹いた。

ビルの足場のパイプがグラグラと危なげに揺れている。

「結衣、俺がいなくなってもちゃんと学校に通うんだぞ?でも、川崎っていう友達もできたし大丈夫だよな」

藤原くん?何言ってるの……?

「自分のことちゃんと好きになってあげろよ。俺が結衣を思う気持ちには負けるかもしれないけど」

ふっと笑う藤原くん。

どうしてそんなこと言うの?

どうしてこれが最期みたいに言うの?

なんだかお別れの言葉みたい。

その時、上空から「危ない……!!」という叫び声がした。

思わず見上げると、風にあおられて足場が倒壊寸前になっていた。