「ずっと、思ってた。この世に大切な人を残して先立つ人より、取り残されたほうがキツイって。苦しいし、悲しいって。でも、それって違うのかなって」

藤原くんの言葉に自然と涙が溢れる。

「どっちもキツイなって。大切な人がいて……これから先もずっとその人と一緒に生きたいと思っているのに一緒にいてあげられない。話も聞いてあげられない。守ってあげられない。隣にいてあげられない。そういう苦しみもあるんだなって」

胸が痛む。漏れそうになる嗚咽を必死に飲みこんdな。

「でも、人生の幕を下ろすときに大切な誰かを思い出せるのも、そんな誰かがいるっていうのもすごい幸せなことなのかもしれない」

藤原くんはフッと笑った。

泣き笑い。そんな言葉が今の藤原くんにはぴったりだ。

「結衣と出会って俺は救われたんだ。生きたいって思った。結衣と一緒に生きていたいって思った」

藤原くん……。

たまらずわたしは起き上がり、藤原くんに顔を向けた。

「こっちみんなって言ったのに」

藤原くんも起き上がり、涙を拭った。

わたしはボロボロと涙を流しながら、藤原くんを真っすぐ見つめた。

言いたい。

今、伝えたいと思った。

わたしの気持ちを藤原くんに。

ここまでのもどかしい気持ちは初めてだった。

「……っ……っ!」

口を必死に開けて、喉の奥から言葉を紡ぎ出そうとする。