確かに川ちゃんの名字は川崎だ。

「うちのお姉ちゃんって委員長とかやるタイプじゃないんだよねっ。なんか押しつけられて仕方なく委員長やり始めたらしいんだけど、今は違うって。妹のあたしみたいに生意気じゃない可愛い後輩もできたって喜んでたよ」

可愛い後輩。そんな風に言ってくれているなんて。胸が熱くなる。

「今度結衣が暇な日、うち遊びにおいでよ。お姉ちゃんも喜ぶし」

【ありがとう】

「うん。じゃ、また明日ね!」

川ちゃんが手を振って教室から出て行った。

「結衣、いつの間にか友達出来てたんだなー」

わたしと川ちゃんの会話を聞いていた藤原くんは「よかったな」といってわたしの頭を撫でた。

あの時、勇気を出して図書委員になってよかった。

図書館だより作りに立候補してよかった。

ほんの少しの勇気を出すことで、わたしは川ちゃんという友人と川崎さんという先輩との関係を持つことができた。

一期一会。

その人と出会えるのは、一生に一度しかない。

この出会いを大切にしよう。

裏切るとか裏切られるとかそんなこと抜きにして。

それを恐れていたらきっと折角の機会を無駄にしてしまうことになる。

どうなったとしても、わたしは目の前にいるその人のことを大切にしよう。

相手がどう思おうがわたしはそうする。

そう心に決めた。