【信じてるよ だから、心配なの】

「心配?」

【また夢を見たの?】

わたしの問いかけに藤原くんはわずかに目を泳がせる。

空気感が変わった気がする。

ほんの少しだけひりついた空気にわたしは全てを悟った。

【誰かが】

【死ぬ夢を見た?】

遠回しに聞く余裕はもはや残されていなかった。

あまりのストレートな質問に藤原くんの顔色が変わる。

「どうして、そう思ったの?」

【おばあさんにさっき会ったの】

「そっか。それで」

納得したように小さく二度頷く。

【ごめんね だまってて】

「いや、いいよ。謝んなくて。俺の方こそ、ごめん」

全てを覚悟したかのようにそこで言葉を切った。

わずかの間のあと、

「この間結衣と遊んだ日の夜、夢を見た。それで分かったんだ。俺がこうやって結衣といられる時間はもう1か月もない」

藤原くんは絞り出すように言った。

「俺はもうすぐこの世からいなくなる。残された時間はあと2日間」

2日間……?そんなに短いの……?

今日は4月27日。だとしたら、29日までしか一緒にいられないということ……?


絶句した。

その言葉はわたしが一番聞きたくない言葉だった。