斜め45度の世界を変えてくれたのは、キミだった。
最終章

タイムリミット


学校が終わると、わたしは我先に教室を出て緑ヶ丘公園へ向かった。

でも、そううまくはいかない。

桜の木の下に藤原くんの姿はなかった。

緑色の桜の葉が風に揺られている。

いつも藤原くんが寝転んでいる場所に同じように寝転んでみる。

子供の頃はこうやって地面に寝転ぶこともあったけど、成長と同時にそんなことしようだなんて考えることもなくなった。

『寝転んだまま見ると、同じもの見てんのに全然違く見えるって知ってた?』

藤原くんの言葉をふいに思い出す。

なんかね、今、その言葉の意味が分かった気がするの。

ちっぽけで狭いわたしの世界が少しづつだけど開けている気がする。

少し前にこの公園に来た時のわたしとは別人とまではいかないけれど。

それでもわたしは1か月前の自分よりも今の自分が好きだと胸を張って言える自信がある。

わたしは、わたし。他の誰でもない。

出来ないことだってたくさんある。

でも、誰かと比べる必要なんてない。

目をつぶると瞼の奥に藤原くんの姿が浮かぶ。

会いたいよ、藤原くん。

わたしはあなたに会いたい。

会ったところで何がどう変化するかなんてわからない。

だけどやっぱり会いたいよ。

ふたりっきりじゃなくてもいいの。

学校でだっていい。同じクラスだし、席は前後だし、すぐ近くで藤原くんの存在を感じられるから。
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