そんな自分を誰かに知られるのも嫌だった。

でも、心の奥底で欲していたんだ。

人との関わり合いを、触れ合いを、友達を。

それに気付かせてくれたのは、藤原くんだ。

【ありがとう 川ちゃん】

メモ帳に書いた文字は緊張でほんの少しだけ小さくなってしまった。

それを見た川ちゃんは「じゃ、あたしも結衣って呼ぶね」そう言って微笑んでくれた。

ほんの少しのキッカケで人は変われる。そして、その周りの環境も変化する。

ねぇ、藤原くん。

この光景を藤原くんが見たら、きっとすごい!って大袈裟に褒めてくれたはずだよね。

教室中はいまだに笑い声がこだまし、先生がそれをいさめる。

手の中にあるペンとメモ帳に視線を向ける。

すべてのきっかけを作ってくれたのは藤原くんだ。

そんな彼が突然わたしと距離を置こうとするなんてやっぱり信じられない。

もしかしたら何かしらの理由があるのかもしれない。

藤原くんはそれをわたしに打ち明ける気はないようだ。

……今日も、行ってみよう。緑ヶ丘公園へ。

たとえしつこいと思われたとしても。