「別にいいって。今こうやって一緒にいられてるわけだし、結果オーライ」

【いつか】

「うん」

【こうやってメモじゃなくて】

「うん」

【藤原くんと話したいな】

素直な気持ちを伝える。

「だなー。でも、別に俺はどちらでも構わないし。どんな形だとしてもこうやって一緒にいられるだけで」

【ありがとう】

「結衣のペースで一歩ずつでいいよ。焦る必要なんてない」

ありがとう、藤原くん。もう一度心の中でお礼を言う。

藤原くんの言葉はわたしの心の中を魔法みたいに潤してくれる。

【藤原くんにいつも助けてもらってばっかり】

「別に俺、助けてなんていないよ」

きっと藤原くんは無自覚でわたしを助けてくれている。

自己紹介の時も。さっき友達と会った時だって。

【もしも】

「うん?」

【藤原くんに困ったこととか辛いことがあったら】

「うん」

『あの子はあの事故の後自分の気持ちを口にしなくなったの。辛い時に辛いって言えなくなってしまった。自分の気持ちを口に出せないのは辛いね。そういうところ、あなたと奏多は少しだけ似ているわね』

藤原くんのおばあさんの言葉がふと蘇る。