「変じゃないかな……?」

自分の姿を朝から数えきれないぐらい鏡に映してチェックした。

コーディネートは店員さんと相談しながら決めたし、持ち物も何回もチェックしたから大丈夫なはず。

なのに、なんだか落ち着かない。

約束の時間の1時間前にはすべての準備を終えたはずなのに、ソワソワと落ち着かない様子でリビングのソファから立ったり座ったり、洗面所へ行って髪型のチェックをしたりととにかく動き回るわたし。

変なところ、ないかな。藤原くんと私服で会うのは初めてだし、わたしの姿をみてどう思うかな。

変だって思われたくない。本音を言うなら、よく思われたい。

少しだけでもいい。可愛いと思ってもらいたい。

自分の中にこんな乙女な一面が隠されていたのかとこそばゆい気持ちになる。

「結衣、藤原くんのこと好きなんでしょ?」

いよいよ家を出るというタイミングで母はわたしの気持ちを見透かすように言った。

「べ、別にそんなんじゃないよ!」

「照れちゃって。別にいいじゃない。人を好きになるのってすごく幸せなことなんだから」

「もう、やめてよぉ」

赤くなる顔を悟られないように背中を向けたまま靴を履く。

「結衣、楽しんできてね」

「うん。いってきます!」

母に玄関先で手を振って家を出る。