「だから泣いてたんだね。そっかそっか。彼、魅力的だもんね」

川崎さんは全てを悟ったように言った。

「彼のこと、好き?」

川崎さんの言葉にわたしはキュッと唇を噛んだ。

わたしは、藤原くんが……好きだ。

【好き……です。でも、わたしなんかが】

そこまで書いたところで川崎さんは「ストップ!」とわたしを制止した。

「わたしなんかが、って悲しいこと言わないで?あのね、ちょっと私の話聞いてくれる?」

川崎さんが優しく微笑む。

「私ね、中学時代イジメられてたの。今もだけど、昔から自分のこと主張するのが苦手だったの。人に嫌われることが怖くて嫌なこと頼まれても笑顔で『いいよ』って言っちゃうタイプ。だから、この子には何言ったっていいんだっていい様に使われて、ナメられて最後にはみんなから無視されて。ホント、最悪。中学時代は黒歴史。自分のこと大っ嫌いだった」

川崎さんにまさかそんな過去があったなんて。

わたしは川崎さんの話に黙って耳を傾けた。

「でもね、今は違う。この間みたいにみんなの前に立ってオドオドすることもあるけど、そんな自分でもいいんだって認めてあげることができるようになった。全部完璧にこなせる人なんて絶対にいないから」

川崎さんがにこりと笑う。