図書室までなんかとか辿り着いて扉を開けると、カウンターの中には川崎さんの姿があった。

「あっ、小松さん。さっき先生に聞いたよ。図書館だより完成したんだよね――って、どうしたの?何かあった?」

涙を乾かしてから図書室に入ったつもりだったのに、川崎さんの姿を見ると再び涙が溢れた。

最近のわたしは変だ。自分の感情を抑えることができない。

カウンターの中から飛び出した川崎さんがわたしの元へ駆け寄ってくる。

こんなときわたしを心配して一目散に駆け寄ってくれる人がいる。

それが嬉しくてわたしは更に肩を震わせて涙を流した。

【困らせてごめんなさい】

川崎さんはわたしを近くの席に座らせると励ますように背中をさすってくれた。

しばらくして少し気持ちの落ち着いたわたしは藤原くんがくれたペンとメモ帳で川崎さんにそう伝えた。

「困ってなんていないよ。もう図書室も閉めたし、話ぐらい聞くよ?」

川崎さんのやさしさに再び込み上げてくる感情をぐっと抑えてペンを走らせる。

【ありがとうございます。でももうすぐ藤原くんがきます】

「藤原くん?えっ、彼は今どこにいるの?」

【女の子と一緒です】

「えっ?女の子?彼、彼女いたの?」

【告白、だと思います】

「あぁー……そういうこと、ね」

うんうん、とうなずいた後、川崎さんはくすっと笑った。