「じゃあ、次」

藤原くんの番になった。

けだるそうに立ち上がった藤原くんにクラス中の視線が向けられる。

「藤原奏多です。去年は5組でした。一年間よろしくお願いしまーす」

ゆっくりとした口調。クラスに響き渡る声量。余裕そうな後姿。

まるで息を吐くように自己紹介を終えた藤原くんが椅子に座るとどこからともなく拍手がわき起こる。

太陽の光に反射して彼の髪の毛がキラキラと輝く。

彼は太陽のようだ。見た目だけでなく性格も彼は全てにおいて眩しく輝いている。

彼との違いを嫌でも見せつけられる。

長く続いた拍手はやがてやみ、教室中の空気がわずかに張り詰める。

人気者のあとはさらにわたしの不出来さが際立つ。

「えー、次は小松結衣」

名前が呼ばれた。ドクンッと心臓が嫌な音を立てる。