部屋の片隅には立派な仏壇が置かれている。

その中に3つの位牌が並んでいる。

「3人が同時に天国に行ってしまうなんて……。残された奏多は……つらかっただろうにね」

その言葉に視線をおばあさんに向ける。

喉の奥の違和感を今は感じない。

藤原くんが家から出て行ったからかもしれない。

口を開くとその予想は確信に変わった。今ならきっと、話すことができる。

「あのっ、3人が同時に天国にって……どういうことですか?」

恐る恐るそう尋ねると、おばあさんは眉を下げながら言った。

「奏多が4年生で洸多が6年生の時……交通事故でね。奏多は死の淵をさまよいながらも一命を取りとめたのよ。でも、残念ながら両親と洸多は……」

「そんなことが……」

絶句した。

まさかあの藤原くんにそんな暗い過去があったなんて思いもしなかった。

順風満帆で絵に描いた幸せな人生を歩んでいるものだと思っていたのに。