不思議だ。どこかで見覚えがある気がする。でも、どこで?
家の外にあった農作業具が気にかかる。田んぼとか畑とか、そういうことをやっているのかな。
あれっ。そういえば。ふと脳の奥底にしまい込まれていた数週間前の記憶を呼び戻す。
もう一度、よく見てみるとやっぱりそうだった。
絶対にそうだ。間違いない。
緑が丘公園の桜の話をしてくれたほっかむりのおばあさん!
「もしかして前にお話ししたお嬢さんかい?」
おばあさんの言葉に大きくうなづくと、藤原くんが不思議そうにわたしとおばあさんの顔を交互に見つめた。
「え、なに、知り合い?」
「そうなの。この間、しゃべったんだよねぇ?そうかい、結衣ちゃんは奏多のお友達だったのかい」
おばあさんはにこやかにそう言うと、テーブルの横に置いてあったバッグを掴んで中から財布を取り出してお札を数枚抜いた。
「奏多、せっかく結衣ちゃんが来てくれたんだから何か好きそうなものでも買ってきておくれ」
「え、今?俺が?」
露骨に嫌そうな態度の藤原くんにもお構いなしにおばあさんは続ける。
「あぁ。飲み物とそれからお菓子もね。適当に見繕ってきてくれ。頼んだよ」
半ば無理矢理お金を渡すと、藤原くんは渋々立ち上がった。
「結衣、ばあちゃんおしゃべりだから適当に流していいから」
「これ、奏多!」
おばあさんの言葉に肩をすくめておどけて見せると、藤原くんは茶の間を出て玄関へ向かった。
ガラガラっと玄関扉を開き藤原くんが出ていったのが分かった。
わたしは喉の奥の調子を伺いながらそっと部屋の中をぐるりと見渡した。
家の外にあった農作業具が気にかかる。田んぼとか畑とか、そういうことをやっているのかな。
あれっ。そういえば。ふと脳の奥底にしまい込まれていた数週間前の記憶を呼び戻す。
もう一度、よく見てみるとやっぱりそうだった。
絶対にそうだ。間違いない。
緑が丘公園の桜の話をしてくれたほっかむりのおばあさん!
「もしかして前にお話ししたお嬢さんかい?」
おばあさんの言葉に大きくうなづくと、藤原くんが不思議そうにわたしとおばあさんの顔を交互に見つめた。
「え、なに、知り合い?」
「そうなの。この間、しゃべったんだよねぇ?そうかい、結衣ちゃんは奏多のお友達だったのかい」
おばあさんはにこやかにそう言うと、テーブルの横に置いてあったバッグを掴んで中から財布を取り出してお札を数枚抜いた。
「奏多、せっかく結衣ちゃんが来てくれたんだから何か好きそうなものでも買ってきておくれ」
「え、今?俺が?」
露骨に嫌そうな態度の藤原くんにもお構いなしにおばあさんは続ける。
「あぁ。飲み物とそれからお菓子もね。適当に見繕ってきてくれ。頼んだよ」
半ば無理矢理お金を渡すと、藤原くんは渋々立ち上がった。
「結衣、ばあちゃんおしゃべりだから適当に流していいから」
「これ、奏多!」
おばあさんの言葉に肩をすくめておどけて見せると、藤原くんは茶の間を出て玄関へ向かった。
ガラガラっと玄関扉を開き藤原くんが出ていったのが分かった。
わたしは喉の奥の調子を伺いながらそっと部屋の中をぐるりと見渡した。