ここは一体どこだろう?

「ばぁちゃん、ただいま!タオルある~?」

玄関に入ると藤原くんが大声で叫んだ。

ばあちゃんってことは、ここ、藤原くんのおばあさんの家?

唐突にやってきて迷惑になってしまうかもしれない。

ふ、藤原くん。わたし、帰る――という前に、

「あらぁ、ずいぶん濡れちゃったね。すごい雨だったもんねぇ。ほらっ、これタオル。どうぞ、あがっていって」

長い廊下を通りこちらへやってきた藤原くんのおばあさんはにこりと笑いながらわたしを家に招き入れた。


「お嬢さん、お名前は?」

【小松結衣です】

【タオルありがとうございます。突然きてすみません】

茶の間へと通されたわたしは小さく頭を下げながら藤原くんのおばあさんにメモ帳を差し出した。

わたしが口で挨拶をせずにメモ帳を見せてもおばあさんは特に気にする様子もない。

「いいのいいの。ゆっくりしていってね。そうか、結衣ちゃんって言うんだねぇ。可愛い名前だ」

茶色いテーブルに向かい合って座りまじまじとおばあさんの顔を見つめる。

すると、おばあさんもわたしの顔をジッと見つめ返した。

あれ……?なんだろう。

「なんでそんなにお互いのことジッと見てんの?」

藤原くんが私の隣でクスクス笑っている。