書き終えた途端に不安に襲われる。

やっぱり言わないほうが良かったんじゃないか。言ってしまったことで嫌われるんじゃないか。

もうこうやって会ってくれないんじゃないか。

そんな負の感情が込み上げる。

「なんで結衣が謝んの?謝られるようなことされてないから」

藤原くんはわたしを励ますように大きな手のひらでわたしの背中をさすってくれた。

その手のぬくもりに胸が熱くなり涙が溢れる。

「結衣だけじゃないって。みんなそんなに完璧じゃない。良い部分だって悪い部分だってある」

うんうん、と涙を流しながらうなずくことしかできない。

「結衣は情けなくなんてない。それに、自分のことをそんなに嫌いになったら自分が可哀想だろ?」

わたしはメモ帳に震える手でこう記した。

【好きになんてなれないよ】

「なんで?」

【みんなにできることがわたしにはできないから。わたしは普通じゃないから】

学校でクラスメイトと話すこともうまく自己紹介をすることも友達をつくることも。

わたしにはみんなが普通にできていることができない。

藤原くんに伝えると、藤原くんは考えながら言った。

「普通になんないといけない決まりある?」

えっ?

予想外の反応に首を傾げる。