その夜。

 初めての返信が届いた。
 しかし、俺のメールした内容にはひとことも触れず、咲久良の文面はただの抗議文だった。

『ほかの男子と一緒に帰れなんて、としくんひどい。昇降口で、部長の彼女さんが待っていたからよかったけど、ほかに誰もいなかったら、ふたりきりでしたよ。としくんは私のことが心配じゃないの? さすが、鬼教師だけありますね』

 重ね重ね言うが、面倒くさい。ほんとうに、わがままな生徒……いや『恋人』だ。
 俺はため息をついて、画面を閉じた。

 返事は送らなかった。