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今日は定休日だった。

とはいっても、いつまでも寝ているわけにはいかない。


いつも1人で朝早くからお店に缶詰のため、銀行や郵便局、お役所に行く時間がない。自然と休みの日に用事が溜まってしまうんだ。

それに今日は、ひな祭りだ。


大丸商店街も朝から活気付いている。



細かい用事をすませ、商店街に向かった。実行委員として、お祭りを成功に導かないといけない。

そう気合を入れていたが__。



それは、マリさんのタピオカ専門店『ミラージュ』の前を通りかかった時だった。

お店のシンボルであるアヒルの看板のその後ろに、猫背の男が立っている。


僕は一瞬で分かった。



きっとあの男は、たい焼きを食べた。それも、一丁焼きで焼いた、たい焼きを半分、食べたはず。

それは、男がまとっている『もの』だ。


時間の流れに逆らっているひと特有の、磁場のようなものが、最近になって分かるようになった。

目に見えないけれど、男の周りだけ時間が止まっている。



なぜなら、違う時代からやってきたからだ。

それは過去だろうか?

未来だろうか?


何れにせよ、あまり良いことじゃない。何日も前からずっと、止まっているのだから__。



「あのっ」

僕は男に声をかけた。