タピオカと、たい焼き?
全く接点がないように思うけれど__?
「伸びるたい焼きってあるでしょ?冷やしても固くならないやつ」
「ああ、確かに一時期、流行りましたね。白いたい焼きですよね?」
「えっ、やったことないの?」
「ないですね。夏でもたい焼きはこれ一本なんで」
と、鉄板を持ち上げてみせた。
「流行りにはノラないタイプか」
「んー、流行りは流れていきますしね」
「見た目とは違って、頑固一徹なのね。でもあの皮って、タピオカで出来てるのよ。知ってた?」
「えっ、そうなんですか?」
「夏に向けて、たい焼き屋さんとコラボしたいなぁ」
マリさんが上目遣いに見上げてくるので、咳払いをして誤魔化した。
「可愛らしいわね、たい焼き屋さん。コラボしてくれるなら、私のとっておきの秘密、教えてあげる」
ふんわりと微笑むマリさんから目をそらせ「そ、そういえば源さんから聞きましたよ、変な男のこと」
「ああ、そうなの。ここ何日かずっと店の外からこっち見てるのよね」
マリさんの表情が曇る。
マリさんがまんべんなく振る舞う笑顔を誤解したストーカーだろうか?
巡回している源さんに、相談したらしいが__。
どことなく胸騒ぎがした。
そして僕の胸騒ぎは、当たることになる。