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商店街はどこか、田舎に似ている。
都会じゃ、ご近所付き合いも濃くはない。隣人の顔さえ知らないなんて、珍しくなかったりするし。
でもここは、のどかな田舎なんだ。
田舎に引っ越してきたなら、そのやり方に合わせないと__村八分にあってしまう。お節介だと思っても、嫌な顔せずに受け入れること。
これがお店をうまくやっていく、1番の秘訣だ。
その点、笑顔が素敵なマリさんは、すでに商店街のアイドルだった。
組合という名のお節介にも、煙たい顔をすることなく馴染んでいる。
「たい焼き、20枚下さい」
マリさんがやってくると、笑顔で注文してくれた。
「こないだ、源さんたちがたい焼き持っていきませんでしたか?」
「うん、8枚ね。それとは別で、たい焼き宣伝してくるわ。今日は休みだから」
「ありがとうございます」
20枚は大量注文ならぬ、大漁注文だ。
恐らく僕より5つくらい年上かな?マリさんはとても綺麗でスレンダーだった。還暦のおじさんたちを骨抜きにするなんて簡単なのかもしれない。
「ねぇ、タピオカとたい焼きって、関係あるよね?」
「えっ?」
「私たち、結ばれる運命だったのよ」
妖しく微笑むマリさんに、思わず引き込まれそうになってしまう。