マリさん、こんなに食べられないだろうなぁ。
そう思いながらも、最後にやってきた楽さんまで揃って「2枚な」と注文するので、どうしようもなかった。
「楽、おめぇ赤ん坊をダシにしてんじゃねーぞ」
源さんが、ずずずっとタピオカミルクティーを飲んで牽制する。
「おめぇこそ、こっそこそこっそこそ通いやがって」
楽さんも負けじと、一気に吸い上げる。
黒いタピオカが太いストローを闊歩していく。
「なかなかうめーよな」という亀さんと、日頃からあんこを啜っているので、誰より吸引力がある吾郎さんが、うんうんと頷く。
よく言うよ。
開店した当初は『おたまじゃくしみたいだな、気持ち悪い』と口を揃えて眉をひそめていたのに。
「吾郎、てめぇーもコロを使って色こいてんじゃねーぞ」
痛いところを指摘された吾郎さんは、あさってのほうを向き口をすぼめて啜り上げている。
いつまで経っても飼い主が見つからない__というより、源さんたち含め飼い主になりたいという候補が多いので、未だにコロはローテーションされているんだ。
その散歩途中で、タピオカを買うのが吾郎さんの楽しみのひとつとなっている。
簡単な話、みんなマリさんに会いに行っているんだ。