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商店街は、移り変わりが激しい。
すべてのお店が、安泰なわけじゃないんだ。何代も続くお店だって、代が変わった途端に衰退していくのを、僕は実際に目の当たりにしている。
ここ、大丸商店街もそれは例外ではなかった。
僕より後にオープンした店で、今も続いているのは沖縄料理の『あんだぎー』くらい。それだってこないだ、沖縄出身のマスターがなかなか厳しいと漏らしていた。
商店街側も黙って見ているわけじゃなく、組合が力を入れて、店舗を誘致したりと積極的に働きかけているが、今のところ実を結んではいない。
『チャレンジショップしませんか?』
それを合言葉に、若い力を呼び入れる。
つまり、空き店舗を借りる場合、資金を補助するというわけだ。商店街なら、様々なタイプの空き店舗がある。たとえば居酒屋であったなら、同じ飲食を開店しやすい。つまりは、居抜き物件が見つかりやすくて、開店資金をよりおさえられるメリットもある。
その制度を利用し、いくつものお店がオープンするが。
問題は、それを1年、維持できるか?
ほとんどの店は、この1年を区切りとして撤退していく。
ただ、最近はこの期間も短縮され始めていた。
お店を開店し、続けていくことは本当に難しいものがある。