お店の外に出ると、ちょうど源さんたちがやってきた。

「なかなか似合うじゃねーか。ほら、これ」


投げてよこしたのは、雪駄だ。

さすがにスニーカーでは様にならないと思っていたので有り難い。


早速、履き心地を確かめる。

「行くか」


組合長の源さんを先頭に、大丸商店街のみんながぞろぞろとついていく。

まるで大名行列のようで、しんがりを務めるのはお店の願い事を託した笹の葉だった。



「あら、似合うじゃない!」

白地に紅葉があしらってある浴衣は、やや季節外れだったけれど、牧子さんによく似合っていた。


その向こうには、由梨さんと高橋さんが肩を寄せ合って歩いている。

僕に気づき、手を振ってくれたので振り返す。


「おっ?」



そのまた向こうにいるのは__定森屋の美代ちゃんだ。

その浴衣姿は、一段と輝いている。


隣にいる男の子と、仲良く手を繋いでいた。

やっぱり若さって眩しいなぁ。



いや、でも待てよ?

隣の男子は、この前の子と違うんじゃないか?


み、美代ちゃん、それって一体どういうこと?



今すぐはにかんだ笑顔に詰め寄りたいけど、それは野暮ってものか?

今が幸せなら、それでいいよね?