お嫁さんを連れてきたんだ。
だから私は、あんなに張り切っているのか?
男の子ばかりだから、娘が欲しかったのかもしれない。気立ての良い、可愛らしいお嬢さんだった。
「俊介、泊まっていくんでしょ?」
「うん、そのつもり」
「お布団も出してあるから」
私が言うと「ありがとうございます」とあかりさんが頭を下げる。
「凄い料理ですね。お母さん、料理が得意だとは聞いてたけど」
「それがね、お寿司屋のくせに生物あんまり食べないのよ、この人たち。寿司職人のくせに、こってりした洋食ばっかりなの」
「あっ、このグラタン美味しい!これピザも手作りですか?お母さん、洋食屋が開けますよ?」
「あら、嬉しい。やっぱり女の子はいいわね。この人たちは美味しいも言わないで、ムスッとした顔で食べてるし、なにが食べたい?ってきいても何でもいいって。それでお茶漬けなんか出そうものなら文句たらたらで」
「ああ、それわかります」
あかりさんが、俊介を睨みつける。
「なんだよ2人して。親父、なんとか言えよ」
せっつかれた稔は、困った顔でビールを黙々と飲んでいる。
老けたわねぇ。
でもあなた、とても幸せそう。