たい焼き屋は、全くの無表情で私を見つめている。
じーっと、私の心の中にまで踏み込んでくる。
「こんなの、なんの意味もない。直也が居ない人生なんて、私には無意味なの。あの子が居ないなら、あの子を取り戻せないなら、私も死んだほうがいいわ」
「じゃあ、そうして下さい」
「えっ⁉︎」
思わず大きい声が出てしまった。
まさかこんな突き放した言い方をされるとは思っていなかったからだ。
私の知っているたい焼き屋は、いつも笑顔を絶やさず、どこか頼りなさげで、でもつい和んでしまうような__こんな冷たい感じじゃない。
「あなたが死ぬということは、俊介くんは存在しなくなるということです」
「な、なによそれ。未来は変えられないんじゃないの?」
我ながら矛盾していると思ったが、ここで負けたくない気持ちのほうが勝った。
「それは分かりません。ただ、あなたにできることは、今すぐ残りのたい焼きを食べて元の時代に帰るか__さらに進むかです」
「さらに、進む?なに言ってるのよ、私はもう未来に行っても__」
「未来に行くことしかできません」
有無を言わさない、最後通告だった。
これ以上、未来になにがある?