義理の父親は、昔ながらの職人気質だった。
お店のためなら、努力を惜しまない。
寡黙で厳しく、ひとり息子の稔には容赦がなかった。早く一人前になってほしいという気持ちの表れだろう。それが分かっているからこそ、稔は愚直に努力をしていた。
そんな父が「__すまない」そうぼそりと私に言ったのは、直也が亡くなった日だったか。
義父は、いつ亡くなったのだろう?
なにか不自然なものを感じだ私は、再び階段を上がった。
体が鉛のように重かったが、直也の部屋に入る。
ううん、直也の部屋だと私が思い込んでいるだけだ。
もしかしたら__?
1番はじめに目に入ってきたのは、プラモデルだった。
さっきも見たはず。その時点で気づくべきだったんだ。
私は母親なのだから。
あの子は__直也は手先が器用ではなく、こういった工作が不得意だった。
将来は寿司職人なのにと、夫婦2人でおおらかに笑ったものだ。稔もとても不器用だったらしく、なかなかまともな寿司が握れなかったと、だから間違いなく俺の子だと胸を張っていた。
よく見ると、精巧なプラモデルがいくつも飾ってある。
ここは、直也の部屋じゃない。
誰か別の__?