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七夕祭りを控え、商店街もようやく梅雨の終わりが見えてきた。

アーケードには、市内の幼稚園や保育園から集めた笹の葉が飾られ、たくさんの短冊がぶら下がっている。


道行くひとは足を止め、つたない字で書かれた大きな夢に触れる。



誰もが短冊を見上げ、優しい笑顔を浮かべていたんだ__。

「おい、もう書いたか?」


源さんが入ってくると、亀さんたちがさっと短冊を隠す。

「なんだよ、見ても減るもんじゃねーだろ?」


「恥ずかしいだろ」と亀さん。

「恥ずかしいって年でもねーがな」


やや不機嫌な楽さんは、珍しく1人だった。大志くんは風邪を引いたらしく、どこでも連れ歩くのが原因だと責められたそうだ。

その時のへこみようといったら、思い出すだけでにやけてしまう。


「俺はできたぜ」

吾郎さんが胸を張って見せびらかす短冊にはこう書かれてあった。


【新作の煎餅が売れますように】


「おめぇーの商売熱心には感心するぜ」

半分は馬鹿にされているのに、源さんの言葉を表面通りに受け取った吾郎さんは、嬉しそうだ。



「たい焼き屋、おめぇーはなんて書くんだ?」

「いや、まだ考えてませんよ」


というより、なんでひとの店で七夕の短冊を書いているのか?