「はぁー」

お祭りは大成功だったというのに、源さんのため息は重い。

亀さんのため息は長く、吾郎さんはタピオカがイモだと知って驚いている。


「いい年して、浮かれやがって。みっともないでちゅねー」

ようやく首が座った大志くんを高い高いしながら、楽さんが小馬鹿にする。



「おめぇーだって、通いつめてたろうが、タペオカ屋」

すかさず源さんが指摘するも、知らん顔だ。



4人ががっくり肩を落とすのには、それなりなワケがあって。

タピオカ専門店のマリさんが、源さんにあるお願いをしたそうだ。本来なら、諸手を挙げて喜ぶところなのに__。


「いいじゃないですか、探さなくて済むんだから」

僕はあんこを挿し入れながら、軽い口調で言ってみた。

いつもなら「てめぇーは黙ってろい!」と怒鳴られるのに、4人はいやに静かだ。


それほど、失恋の痛手は大きいらしい。



マリさんは、来年のひな祭りに結婚式を挙げたいらしい。

由梨さんの幸せそうな姿に感化され、ひな祭りでの結婚式を申し込んだんだ。



実はそのことを僕は、マリさんから事前に教えてもらっていた。

そして、もうひとつの秘密も__。