あまりに混みあった場所のせいで先生が戻ってきていた事なんてまるで気が付かなかった。

そして、何故にこんな心が怯むかと言えばだ、先生の目がいつも以上に鋭い眼光を放っている様に見えるからだ。

いつも通りのやる気のない無表情なのに目だけがなんか恐いんだけど。

しかも、手には銃ってスナイパーですかっ!?

ゴ〇ゴ13ですかっ!?

ヒィィィ!なんて心の叫びを上げながら、思わず弾の当たった腹部を摩っていれば。

「何って……そういうルールなんだろ?」

「………へっ?な……えっ?」

「一番高い物撃ち落としたらお持ち帰りOK」

「は……はい?えっ?」

「だから、『この場』で一番日陽たかいもの撃ち落とした俺の一人勝ちだろうって言ってるんだが?」

「っ~~~」

コレ……、怯えていいのか悶えていいのか分からない。

向けられる殺気立った空気や視線には今もひたすら怯えてしまうのに、さらりと発せられたイケメン発言には口元が緩みそうになるほど悶えてしまって。

そんな間に持っていた銃を台に戻した先生がきちんと一回分の代金も隣に置くのだ。

状況を読み込めないおいちゃんがハテナ顔で『えっ?』『先生?』『日陽ちゃん?』なんて疑問を発して視線を右往左往。

勿論ナンパ男達も『なんだよ』『誰だよ』と威嚇を発しているけれど、先生と言えばお構いなし。