「やっぱり日陽ちゃんだ。ちょっと見ない内にイイ女になって。どうよ?やってく?一回サービスしとくよ?」
「おいちゃん久しぶり。サービスって、まーた阿漕な商売してんじゃないの?」
「阿漕は酷いなぁ。おいちゃんだってこれに生活かかってるからねえ?」
「じゃあ、一回サービスしてもらって、もう一回はおいちゃんの生活に出資してあげる」
「おっ、良い女っぷり!」
調子のいいおべっかには嫌な気分なんて浮上しない。
寧ろ相変わらずで懐かしいとクスリと笑い、渡される銃を手に当たりやすそうな景品を狙うのだ。
「無難なとこ狙うね~」
「当たっても落ちないと分かってるとこ狙うわけないでしょう」
「男はそれでも落とせなかった口かい?」
「はっ?」
「いや、縁日にそんな風にめかしこんでる割に一人でいるからねえ」
「おいちゃん、余計なお世話だし……」
独りじゃないし。
寧ろ既婚者だし私。
とは、先生が居ない手前堂々と宣言していいのか分かんないしな。
自分が顔なじみという事は先生とも顔なじみであるこの人。
一応厄介な縛りが解消された先生と自分の関係だ。
もう隠す必要はないだろうと、顔を隠すでもなく出向いたわけだけども。
それでも『夫婦です』と宣言したいわけでもなくて。
とりあえず言う必要がない場で公言する必要もないか。と、おいちゃんの茶化しを適当に流してゲームに集中を向ける。