残りのお茶を飲んでいると、「そうだ」と急に母親が声を出した。
「今日、産婦人科に行ったときにね、池田さんのお母さんに会ったの」
「池田さんて?」
「ほら、来斗が二年生のときに事故にあって亡くなった女の子がいたでしょう? 池田光莉ちゃん」
「ああ……」
あのころのことを思えば暗い気持ちになる。
仲が良かった同級生が亡くなったあとの兄は見ていられなかったから。
「池田さんのお母さんも十五週なんですって。私よりはひとつ若いけど、『また同級生になりますね』って盛りあがったのよ」
「はいはい。それより父さん呼んできてよ。参考書で欲しいのがあるんだけど」
俺がそう言うと、
「わかったわ」
と手に新しい饅頭を持って母親はリビングを出て行った。
「今日、産婦人科に行ったときにね、池田さんのお母さんに会ったの」
「池田さんて?」
「ほら、来斗が二年生のときに事故にあって亡くなった女の子がいたでしょう? 池田光莉ちゃん」
「ああ……」
あのころのことを思えば暗い気持ちになる。
仲が良かった同級生が亡くなったあとの兄は見ていられなかったから。
「池田さんのお母さんも十五週なんですって。私よりはひとつ若いけど、『また同級生になりますね』って盛りあがったのよ」
「はいはい。それより父さん呼んできてよ。参考書で欲しいのがあるんだけど」
俺がそう言うと、
「わかったわ」
と手に新しい饅頭を持って母親はリビングを出て行った。