それから十五分くらいたった頃
「つ 、冷たっ」
不意に自分の頬にひんやりと硬い感触がぶつかった。
横目でそれが炭酸飲料の缶だと分かってすぐに顔を上げると無表情で私を見つめる人も視界に入った。
「あ、慎也さん」
「お前、毎回来るよな」
プシュッと缶を開け、私の隣に座る慎也さん。
慎也さんは陸先輩と同じ歳だけどなんだか少し距離があって掴めない感じで、先輩とは呼べない。
「お前、ダンスが好きで見に来てんの、それともあいつがいるから?」
くいっと視線を優太に向ける慎也さん。
私、この人のこと怖くて苦手なんだよね 。
「ダンス見るのも好きですけど、一番はジミンがいるから来てます。」
まあ、ここは下手に嘘つくよりも正直に答えた方がいいよね、絶対。
すると、興味のなさそうな返事が返ってきた。自分から聞いておいてなんなんだ。
「慎也さんは踊らなくてもいいんですか?」
「さっき、さんざん踊った。それに俺は楽曲担当だ。」
「でも、来週イベントなんじゃ」
しまった。余計なことを言ってしまった。
私よりダンスに詳しい慎也さんに口出しては失礼すぎる。
でもまあ、意欲が全く感じられないのは確かなんだけど。
私に生返事をしたあと、慎也さんはまるでお酒を飲むようにぐびっと炭酸飲料を飲み干して
気だるそうに私の肩に手を置いた。
そして、支えのようにして立ち上がると皆の元に向かっていった。
やっぱり慎也さんはどこか掴めなくて、何考えてるかわからないから苦手だ。
それから、慎也さんが練習に加わってから何回か通しでダンスを見させてもらった。
今思うことは、すごいなの一言だけ。
5人の揃い具合には驚きしかない。何度見ても圧巻されてしまう。
元々ダンスの上手い優太は活き活きとしているし、さっき怒られてた遥斗も怒っていた陸先輩も楽しそう。
それに何より気だるそうな慎也さんだってキレキレのダンスだ。
後輩の大輝くんも目を輝かせて踊っている。
呼吸するのを忘れちゃいそうになるくらい、見とれてしまって目が離せない彼らのダンス。
イベントは間違えなく大成功、盛り上がりそうな予感がした。
「凛先輩、優太先輩もう疲れてますよ。びしっと言ってやってくださいよ。」
大輝くんの呼びかけが耳に入って、目を向けると肩で息をしている優太とそれをからかう遥斗。
滴り落ちる汗の雫を手の甲で拭いながら笑っているもののその笑顔は少し辛そうだ。
「遥斗も大輝も、からかうなよ。今日はいつもより消耗が早いだけだって」
そんな彼にまた大輝くんは、情けないですねって笑う。
ふざけて大輝くんを追いかける優太。それに楽しそうだからと加わるお調子者の遥斗。
年齢に関係なくふざけ合ったり笑い合えるのは彼らの仲が良くて、まるで兄弟みたいだから。
「優太、疲れてたんじゃねぇのかよ」
今回ばかりは慎也さんの疑問には私も同感だ。
「つ 、冷たっ」
不意に自分の頬にひんやりと硬い感触がぶつかった。
横目でそれが炭酸飲料の缶だと分かってすぐに顔を上げると無表情で私を見つめる人も視界に入った。
「あ、慎也さん」
「お前、毎回来るよな」
プシュッと缶を開け、私の隣に座る慎也さん。
慎也さんは陸先輩と同じ歳だけどなんだか少し距離があって掴めない感じで、先輩とは呼べない。
「お前、ダンスが好きで見に来てんの、それともあいつがいるから?」
くいっと視線を優太に向ける慎也さん。
私、この人のこと怖くて苦手なんだよね 。
「ダンス見るのも好きですけど、一番はジミンがいるから来てます。」
まあ、ここは下手に嘘つくよりも正直に答えた方がいいよね、絶対。
すると、興味のなさそうな返事が返ってきた。自分から聞いておいてなんなんだ。
「慎也さんは踊らなくてもいいんですか?」
「さっき、さんざん踊った。それに俺は楽曲担当だ。」
「でも、来週イベントなんじゃ」
しまった。余計なことを言ってしまった。
私よりダンスに詳しい慎也さんに口出しては失礼すぎる。
でもまあ、意欲が全く感じられないのは確かなんだけど。
私に生返事をしたあと、慎也さんはまるでお酒を飲むようにぐびっと炭酸飲料を飲み干して
気だるそうに私の肩に手を置いた。
そして、支えのようにして立ち上がると皆の元に向かっていった。
やっぱり慎也さんはどこか掴めなくて、何考えてるかわからないから苦手だ。
それから、慎也さんが練習に加わってから何回か通しでダンスを見させてもらった。
今思うことは、すごいなの一言だけ。
5人の揃い具合には驚きしかない。何度見ても圧巻されてしまう。
元々ダンスの上手い優太は活き活きとしているし、さっき怒られてた遥斗も怒っていた陸先輩も楽しそう。
それに何より気だるそうな慎也さんだってキレキレのダンスだ。
後輩の大輝くんも目を輝かせて踊っている。
呼吸するのを忘れちゃいそうになるくらい、見とれてしまって目が離せない彼らのダンス。
イベントは間違えなく大成功、盛り上がりそうな予感がした。
「凛先輩、優太先輩もう疲れてますよ。びしっと言ってやってくださいよ。」
大輝くんの呼びかけが耳に入って、目を向けると肩で息をしている優太とそれをからかう遥斗。
滴り落ちる汗の雫を手の甲で拭いながら笑っているもののその笑顔は少し辛そうだ。
「遥斗も大輝も、からかうなよ。今日はいつもより消耗が早いだけだって」
そんな彼にまた大輝くんは、情けないですねって笑う。
ふざけて大輝くんを追いかける優太。それに楽しそうだからと加わるお調子者の遥斗。
年齢に関係なくふざけ合ったり笑い合えるのは彼らの仲が良くて、まるで兄弟みたいだから。
「優太、疲れてたんじゃねぇのかよ」
今回ばかりは慎也さんの疑問には私も同感だ。