下にはたくさんの白い花が飾られている。

『どうして、私はここにいるのに! どうして?』

誰に訴えても無駄なことだった。
やがて、薄暗い会場にひとりとり残されていた。
真ん中の席で自分の顔写真を長い時間見つめていたのは覚えている。
係員により取り外される写真と花たち。
照明が消されてもなお、動けずにいたんだ……。

私は、この世界に自分の存在がなくなったことを知った。
そうして町はずれのこの場所に逃げこんだのだ。
うずくまる自分の体の周りには幾重にも黒い糸が絡みついていて、それは日々増えている。
まるでクモの糸が張りめぐらされるように、この地に捕らわれていくのを知っても、もうどうでもよかった。
最近は顔だけしか動かすことができない。
視界もどんどん狭くなっていくばかり。
記憶の上映が終わり、私は輪の顔をもう一度見た。

「私は……死んでしまったんだよね?」

「そうだね」

ああ、と一瞬瞳を閉じた。
ずっとわかっていたことでも、改めて人から言われるとショックを覚える。