「どうして……どうして私が見えるの?」

まだうまく出せない声で尋ねると、輪は困ったような顔になった。

「うーん、わかんない」

オーバーリアクションに両腕を組んで首をかしげた輪が、
「どうしてきみはここにいるの?」
逆に聞いてきた。

「それは……」

ふいに視界が揺らいだ感覚にギュッと目を閉じた。
真っ暗になったまぶたの裏に、やがてあの日の記憶が映し出される。
雨の午後、しとしとと暗い雨が降っている。
町はずれにある白い建物の外観。
広い館内に集まっている人たち。
お父さんやお母さん、友達にいくら声をかけても誰も気づかない。
みんな黒い服を着てただ泣いているだけ。

ここは……お葬式会場?

線香の煙がうっすら漂い、すごく寒かった。
会場を見渡した私は思わず悲鳴を上げる。
中央に飾られた大きな写真は自分の顔だったのだ。