そんな私を無視してクロは輪に顔を向けた。

「こいつが地縛霊になったときには、責任持って俺が始末することになるがいいな?」

「わかりました」

神妙な顔でうなずく輪。

「待って。私の意見は……」

「聞いてない」

ズバッと言ったクロが私の頭に手を置こうとする。

「じっとしてろ」

そう言われてもまだ未練解消をする心の準備ができていない。

「待ってよ」

振りほどこうとする私に、輪が顔を寄せてくる。

「大丈夫だよ」

「未練解消なんてできない。怖い……思い出すのが怖いの」

必死で言葉にしても輪はやさしい目を崩さない。

「光莉が未練解消をしたい相手だって、きっとそれを望んでいる。誰だって友達に苦しい思いをしてほしくないから」

「無理だよ……」