「僕はこれまでたくさんの地縛霊を見てきた。みんな、苦しそうだった。光莉にはそうなってほしくない。そう思うんだ」
答えられない私に、輪は続ける。
「地縛霊になってしまったら、ここに住む人にも災いをもたらすことになるよ。誰かを苦しませたくないよね?」
そう言われても自分でもどうしていいのかわからない。
たしかに誰かを不幸にする存在にはなりたくない。
だけど、未練解消をすれば確実に誰かに迷惑をかけることになることだけはわかる。
選択肢のどちらにも悲しい結末が待っているなんて悲しすぎる。
唇をギュッと噛んで答えを出せずにいるとクロがドカッと地面に座った。
「いいか」
身を乗り出して鋭い目で輪をにらむ。
「光莉は死んだんだ。これはもう変えられない事実だ」
「はい」
うなずく輪からクロは私に視線を移す。
「未練解消の期間は四十九日。お前はそれを拒否したんだ。それに間違いはないな?」
にらんでくる眼力に気圧されるようにうなずくと、クロはしばらく黙ってから「ふう」と息を吐いた。
答えられない私に、輪は続ける。
「地縛霊になってしまったら、ここに住む人にも災いをもたらすことになるよ。誰かを苦しませたくないよね?」
そう言われても自分でもどうしていいのかわからない。
たしかに誰かを不幸にする存在にはなりたくない。
だけど、未練解消をすれば確実に誰かに迷惑をかけることになることだけはわかる。
選択肢のどちらにも悲しい結末が待っているなんて悲しすぎる。
唇をギュッと噛んで答えを出せずにいるとクロがドカッと地面に座った。
「いいか」
身を乗り出して鋭い目で輪をにらむ。
「光莉は死んだんだ。これはもう変えられない事実だ」
「はい」
うなずく輪からクロは私に視線を移す。
「未練解消の期間は四十九日。お前はそれを拒否したんだ。それに間違いはないな?」
にらんでくる眼力に気圧されるようにうなずくと、クロはしばらく黙ってから「ふう」と息を吐いた。